12月に食書評エッセイ集『味見したい本』を刊行予定。ちくま文庫オリジナル『もの食う本』の続編です。

書評:
『文學界』で、お酒書評「BOOKSのんべえ」連載中。
10月号掲載の第3回は、太宰治『津軽』。
「津軽地方には、このごろ、甲州における葡萄酒のように、リンゴ酒がわりあい豊富だという噂を聞いていたのだ」これは1944(昭和19)年に書かれた話だけれど、今でもその噂は確かです。

9月23日付の産経新聞書評欄で、関根虎洸『遊廓に泊まる』(新潮社とんぼの本)をとりあげました (Click!) 
写真に添えられた文章は、宿のあるじから聞き取った遊郭の歴史と、泊まってみての印象を軸にした淡々とした筆致。たとえば青森は八戸『高山旅館』だと「雪国らしく掛け布団は3枚重ねてあった」と描写されるところにたしかにそこで一晩を過ごしたリアリティがあります。早く訪ねないとかき消えてしまうかもしれない、儚さを含んだ宿泊記録とはいえ、新潟市『旅館福田』や、秋田・由利本荘『錦旅館』などは、建築工事などの仕事のため遠方からやってきた人たちがしばしば長逗留するのだと説明されていて、そこで出される朝食のおかずのイカ刺しのおいしそうな光り具合を捉えた写真を見ると、ああ、活きている場所だなあと、ほっとさせられます。

『サンデー毎日』で、食書評コラムを隔週連載中。
第60回は、阿古真里『パクチーとアジア飯』(中央公論新社刊)です (Click!) 
タイトルにもある「パクチー」と、カレーの歴史を追う章の〆に登場する「大阪スパイスカレー」は、ここ最近、その人気が高まりまくっている食べものでもあり、この本では、工夫する心と貪欲さをもって、大陸の鋭角な風味をぐっと身近に引き寄せようと尽力している人の存在を知らされます。そして、どちらも日本らしい食べかたをされているのだなと。
第61回は、辰巳雄基『箸袋でジャパニーズ・チップ! テーブルのうえで見つけたいろんな形』(リトルモア刊)です (Click!) 
割り箸を取り出した後の箸袋を折り畳み、全く別の形に変身させた「あれ」をなんと呼ぶか、そういえば考えたことがありませんでした。